カルデラ先生

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その先生は頭頂部が

ザビエルのように禿げていた

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その先生は

カルデラ先生と

生徒たちに親しみを込めて

呼ばれていた

 

その先生の社会の授業が大好きだった

 

先生は手作りのガリ

(トレーシングペーパーに尖ったペンで穴を開けながら書くプリント)

をたくさん作って配ってくれた

 

そのプリントも大好きだったが、

私が一番その重松一朗先生から

学んだこと、魂に刻んだことは

 

 

「自分たちの世代は大変な時代から

 恵まれた世の中になったからいいが、

 

 今の子たちは

 生まれた時からものがあるのが当たり前だ。

 

 その子たちが

 もし、また物の無い厳しい世界に戻ったら生きていけるのか、わたしはとても心配している」

 

と授業でつぶやいた一言だ。

 

先生は

戦争を経験されている。

 

戦争に兵士として行ったことはないが、

普通に友だちと話しながら歩いている

最中、空襲にあって、

さっきまで元気だった横にいた友だちが死に、

自分は生き残った話をしてくれた

 

とてもリアリティがあった

 

今のこの平和や

普通の生活は

当たり前のものではなく

もしかしたら、

生きている間に

失ってしまうこともあるのかもしれない

 

と、

当時中二だった私は

心に刻んだ

 

現在の平和、

豊かな生活は、

50年前、70年前、100年前に

未来に豊かな日本を残そうと

生きた

がんばった

人の願いで作られている

 

私たちは

未来に何を残して死んでいくのか

 

100年後の夢はありますか??